教員の過労死ってなに?by日本政府
一応社会科教師なので、国会のホームページもよく見ます。
そこで、このような質問主意書を紹介ます。
長妻議員が提出したものです。現在の教員の働き方の問題点がコンパクトにまとまっています。
特に注目した項目がこちら。
教職員の過労死、過労自死の人数の推移を年度ごとにお示し願いたい。その上で、教職員の過労死、過労自死について政府としてどのように分析し、対策をしていくのか、お示し願いたい。
教員の過労死問題は、松丸正弁護士のブログにあるように「地方公務員災害補償基金(地公災)」に認定されることです。
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松丸弁護士のブログのよると、松丸弁護士が関わっている事案で、地公災に認定された過労死事案は5件あると述べています。全国ではさらに多いでしょう。
そりゃ、日本政府の調査力をもってすれば、過労死事案の件数はしっかり把握しているでしょう。
さて、政府の答弁です。
衆議院議員長妻昭君提出学校における働き方改革に関する質問に対する答弁書
お尋ねの「教職員の過労死、過労自死の人数の推移」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、教職員の過労死(業務における過重な負荷による脳血管疾患若しくは心臓疾患を原因とする死亡又は業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡をいう。以下同じ。)の発生件数について網羅的に把握していないため、その推移についてお答えすることは困難である。
政府としては、教職員について、「過労死等の防止のための対策に関する大綱」(平成二十七年七月二十四日閣議決定)を踏まえ、過労死等に関する調査研究を行っているところであり、その結果を踏まえ、過労死等の防止のための対策を効果的に推進してまいりたい。
お尋ねの「教職員の過労死、過労自死の人数の推移」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが・・・・?
え?地公災の存在を政府は知らないの?
教職員の過労死の発生件数について網羅的に把握していないため、その推移についてお答えすることは困難である・・・・?
え?地公災で誰に基金を支出したかを調べればすぐにわかることじゃない?
それに、把握していないことを恥じずに、開き直っている。行政府として、職員が過労死しているのを知らないなんて、無責任も甚だしい。
中教審の働き方改革答申では、「在校時間月45時間以内」という上限規制がかけられることになりました。しかし、これはあくまで在校時間。持ち帰り仕事はカウントされません。学校から帰っても業務量が多いため、家で遅くまで仕事をする教員。しかもそれは自主的な仕事とされます。
在校時間45時間を守っても、全体の総労働時間が減らないと過労死は起こります。
まして持ち帰り業務が膨大になると、家での業務にあたる時間の証明が難しくなりかえって過労死認定が難しくなります。
そもそも教員の業務に「自主的なもの」はないです。
教員の業務の多くは授業や生徒指導という、本来業務に付随する業務を行っているので、自主的というくくりは現実的ではありません。本当におかしい。
この原因は「給特法」があるからです。給特法下では勤務時間外の業務は「自主的」とされるからです。
給特法をなくさないかぎり、痛ましい過労死はなくならないし、上限規制をかけることで、過労死認定がさらに難しくなるのではないかと懸念しています。
このままでは管理職は「45時間の上限を守らせているから、自主的に活動して、勝手に過労死したんでしょ。」と言い訳ができてしまう。