人手不足の現場と変形時間労働制~「配慮」する余裕が現場にある?
年間の変形労働時間制を入れても、学校の働き方改革にはならない(妹尾昌俊) - 個人 - Yahoo!ニュース
10月に召集される臨時国会。
そこで、教員の変形時間労働制の導入が法案として通される予定です。
これは文科省の「働き方改革工程表」にも載っていますし、自民党の文教委員会での既定路線なので、ほぼ通るでしょう。
教員の勤務時間について、「繁忙期」と「閑散期」に分け、繁忙期には定時を延長し、閑散期は定時を短くする、もしくは休日を増やす。
つまり1年を通して、勤務時間を調整する仕組みです。
これに対して、現場の教員からは猛反発。ネット上でも大炎上しています。
Yahooの記事で妹尾先生も指摘しているし、現に文科省に役人も「長時間労働の解決にならない」と分かっている。
なのに導入するのは、「数字上の残業を減らし、働き方改革を進めているポーズを国民に見せること」や「教員の待遇改善には1円も出したくない」からでしょう。現場の教員のことは1mmも考えていません。
絶対に反対多数の変形時間労働制。
おそらく臨時国会では、様々な懸念があるのは承知しているが、文科省や自民党は「サイレントマジョリティーは賛成している。」と押し通すと思います。
一方で、記事内にある通り、介護や育児を抱える先生は、定時が延びるとかなり負担がかかります。文科省も「このような立場の人には適応しない」と述べています。
しかし、その言葉、信用できますか?
文科省の配慮しますに騙されるな。給特法も残業がないはずが、生徒のためにと無賃労働を強いてきた。それを管理職の責任と責任転嫁してきた。変形時間労働制も問題が出ても現場のせいにする。だから導入前に絶対に止めなくてはならない。甘い言葉を信用してはならない。
— もょもと (@bigface1979) 2019年9月18日
あの給特法も、はじめは「残業は命じないよ、4%給料を上乗せするよ。」と甘い言葉で法案を通しました。
しかし、今は「残業は命じてないよ。残業?お前らが勝手に働いてるんだろ?でも生徒のために時間外の部活や業務はお願いね。あ、これは残業の命令じゃないぞ。あくまでお願いに対する自主的業務だ。文句あるか?」となっています。
給特法と同じで、導入前は甘い言葉で。導入後は凶暴な姿をあらわにする。変形時間労働制はまさにそのような法律。立場の弱い、発言するのが苦手な人が苦しむ制度。
— もょもと (@bigface1979) 2019年9月18日
夏休みが取れるよ。介護や育児の人には配慮するよ・・・。
導入した後は、そんな配慮など全く反故にされるでしょう。
中教審:一年単位の変形労働時間制を導入することで,学期中の勤務が現在より長時間化し,かえって学期中一日一日の疲労が回復せずに蓄積し,教師の健康に深刻な影響を及ぼすようなことがあっては本末転倒である。
— もょもと (@bigface1979) 2019年9月18日
文科省:でも長時間労働になっても責任は現場にある。文科省は責任は取らない。
結局長時間労働がそのままになるのは、現場のせいにされます。さらに、管理職が長時間労働を黙認しても罰則は一切なし。また、管理職が教員の意に反して変形時間労働制を強要しても、罰則なし。これでは何の歯止めもありません。
今の人手不足の学校現場。学校の教育活動を維持するために、そのような配慮などされるわけがありません。そもそも配慮できるほど人員の余裕はありません。
結局、介護を抱えている人、育児を抱えている人も変形時間労働制を「自主的に」受け入れ、より苦しい立場に追い込まれるのは火を見るより明らかです。
給特法は当初の甘い言葉に誘われ、現場に導入した結果、人の命を奪う殺人法案と化しました。
だからこそ、変形時間労働制は、給特法導入時の過ちを繰り返してはなりません。