BIGFACEs Opinion

教育に関するツイート、教員の働き方改革のついての意見を書いていきます。

キャリアパスポートと「頑張れば報われる」思想

キャリアパスポートが来年度から導入されるという報道がされてから、また負担増か!とネットでは大炎上中です。

ただ、キャリアパスポートの内容を見れば、普段学級活動で生徒が書いている反省用紙をためいてくもののようで、「まあ、やるよね」ぐらいの感想です。

ただ問題なのが高大接続の話題。

主体性の判断材料として、大学入試で活用もありとのこと。

この話が出るということは、大学入試で活用することは既定路線でしょう。

キャリアパスポートはどうでもいいのですが、それをつくらせようとする人たちの思想背景が気になります。

目標をもって努力し、頑張れば何かが手に入る。

主体性をもって頑張れば、成長につながる。

このことがキャリアパスポートによって「よいこと」とされたら、たいへん息苦ししい子供時代になります。

何もしない自由、何も考えない自由、主体性を放棄する自由、つまり自由が奪われるからです。

別に小学生の時に必ず将来の夢を持つ必要はないでしょう。それよりも、好きなことや面白いことに目いっぱい浸ってほしい。それもいろいろなことに。

もう一つ気になるのが「キャリア」という発想。

小学生から将来のことを考える?ああ、まさに東京生まれ、塾通い、進学校、お勉強ができた子供、つまり文科省をはじめとする「恵まれた人の発想」です。

私は田舎生まれ、貧しい家庭育ち。将来の夢は貧乏だけはいやだということでしたね。

キャリアパスポートに「貧乏になりたくない」と書いたら、先生はなんてコメントしてくれるのでしょうか?というか、そんな心の痛いところを小学生に書かせるのですか?

キャリアパスポートを考えた人たちに、今年話題になった東大の上野千鶴子先生の祝辞をもう一度かみしめてほしい。

平成31年度東京大学学部入学式 祝辞 | 東京大学

あなたたちはがんばれば報われる、と思ってここまで来たはずです。ですが、冒頭で不正入試に触れたとおり、がんばってもそれが公正に報われない社会があなたたちを待っています。そしてがんばったら報われるとあなたがたが思えることそのものが、あなたがたの努力の成果ではなく、環境のおかげだったこと忘れないようにしてください。あなたたちが今日「がんばったら報われる」と思えるのは、これまであなたたちの周囲の環境が、あなたたちを励まし、背を押し、手を持ってひきあげ、やりとげたことを評価してほめてくれたからこそです。世の中には、がんばっても報われないひと、がんばろうにもがんばれないひと、がんばりすぎて心と体をこわしたひとたちがいます。がんばる前から、「しょせんおまえなんか」「どうせわたしなんて」とがんばる意欲をくじかれるひとたちもいます

キャリアパスポートはがんばっても報われない、がんばろうにもがんばれない子供を傷つけていないか配慮が必要なものです。