変形時間労働制導入の根拠~2人の教育長の妄言~
文科省が、毎日新聞のスクープを即座意に否定したにもかかわらず、変形時間労働制は結局導入の方向。
さて、そのターニングポイントになった昨年10月の中教審では2人の教育長が登場します。このお二人が変形時間労働制導入のおぜん立て?の役割を果たしました。
変形時間労働制のメリット知りたいですよね?では、その議事録を読んでみましょう。
学校における働き方改革特別部会(第18回) 議事録:文部科学省
はじめに東京都教育長、中井さんの話。長いので要約します。
高校の先生は約10時間働いている。部活動も含めて、なかなか削れない。部アk津道を削ればよいとあるが、部活は保護者や生徒も求めるし、一部の教員も指導したいから削れない。だから完全な外部化はそぐわない。でも、夏休みはこれらの業務がない。だから、学期中の勤務時間を今の現状に合わせて延長し、夏休みを学生のように休む。そうすれば旅行にも行けて、魅力につながる。教員志望者を集められる。部活はどうする?平日2時間だけの部活に来てくれる指導員はあまりいない。夏休みならまとまった時間があるから、部活動指導員も集めやすい。補習は教員OBを使えばよい。
だそうです・・・どうです?納得できますか?
一言でいうと、「現状追認と希望的観測」で話を進めています。
まずは部活動は削れない、平日に部活動指導員を確保できないから定時を延長して部活をやってもらうと言っています。
このことから、変形時間労働制は「部活動指導」も視野に入れていることが分かります。今、部活動顧問を拒否している先生は、今後も拒否できるでしょうか?
また、夏休みの部活動は部活動指導員、補習は教員OBを活用するそうです。
果たして今教員がやっている業務を賄えるくらい人が集まるでしょうか?
もし集まっても予算は?新たに膨大な予算が必要では?
まさに希望的観測。ありもしない、できもしない仮定の話で「変形時間労働制」をアピールしています。
続いて岐阜市教育長、早川さんの話。大事なところを抜粋します。
岐阜市は平成26年から土曜授業を年10回実施しております。その分の勤務の割り振りが確実にできるように、夏季休業中の8月4日から19日までは、県教委にも協力を得て、行事を持たない期間として従前から位置付けられておりました。一方、お盆期間の3日間程度は、日直を置かない学校閉庁日として独自に実施している学校が既に3分の1程度ございました。そうした下地があって、今でも行事を持たない期間になっているのだから、それならば、2週間程度日直も置かず、前後の週休日も合わせて16日間学校閉庁日にしようということにしました。本市で働く先生の新たな魅力になるのではないかと考えたわけです。
え?夏休みの休みまとめどりは「土曜授業」の勤務の割り振りなんですか?
そりゃ、岐阜市の先生たちは閉庁に賛成するでしょう。というか、当たり前の措置。
普段の定時を延長する「変形時間労働制」とは全く違う取組の紹介をしています。
それなのに、この取り組みが変形時間労働制のメリットとして話が進んでいる。
議論のすり替えです。
正直言って、こんなバカみたいな根拠で変形時間労働制を導入していいのか?と思います。
この審議の後半では、労働法の専門家である川田先生、妹尾先生、相原さんが懸念を表明しています。
特に川田さんの発言は重要。
問題意識として、現行法全体を見てその中で体系的に考えたときに、公立学校の教員についてだけ仮にこういう制度を導入するということを考えた場合に、その根拠をどう説明していくのかということについてちょっと難しいところがあるのではないかと考えております。
なぜ文科省は、大臣自ら「業務の縮減にはならない」を言っている変形時間労働制を教員の働き方改革に導入するのか?その根拠は何か?これに答えていない。
そりゃ答えられませんよ。
だって、「今の長時間の残業時間を変形時間労働制でごまかすことができる。」なんて本音はさすがに言えないですからね。