変形時間労働制への適切な順番
部活は学校から切り離したいby文科省メールマガジン - BIGFACEs Opinion 中学校の先生は部活動指導がありますから年間1000時間程度の時間外勤務をされていると思われます。うーむ、割増残業代1時間2000円だと200万円。それを0円にしてる給特法。これ、許されますか? https://t.co/PrkStWanyQ
— もょもと (@bigface1979) 2019年6月30日
このブログ記事で取り上げた文科省の「働き方改革」についての考えは、今一度確認しておく必要があります。文科省の本音が透けて見えるからです。(文科省だって、今の働き方では人手不足になり教育が崩壊することは分かっていますね。)
さて今回出された夏休みのまとめどり案。
これは、学期中の勤務時間を延長し、夏休みなど長期休業中の勤務時間を短縮することで勤務の平準化を図る「変形時間労働制」の導入の地ならしです。
「毒まんじゅう」としての夏休みまとめどりの復活 - BIGFACEs Opinion
— もょもと (@bigface1979) 2019年6月30日
変形時間労働制の地ならしでしかないこの取り組み。 https://t.co/ofsmGpxnUy
しかし、早急に変形時間労働制を導入するのには大きな問題があります。
もし、変形時間労働制を導入し、学期中の勤務時間を2時間延長したとします。
年間で200日くらい登校日があるので、200日×2時間=800時間の時間外労働が発生します。
長期の休みは夏、冬、春を合わせて約80日。この80日で時間外労働を相殺しなくてはなりません。
2時間勤務短縮するとして2時間×80日で160時間。足りませんね。
4時間勤務短縮するとして4時間×80日で320時間。まだまだ足りません。
思い切って8時間勤務短縮するとして8時間×80日で640時間。まだ相殺できません。
8時間勤務短縮ということは、もう勤務しないということ。夏休み全部休みということです。そうしても学期中の2時間延長分の時間外労働を相殺できません。
だから文科省は上限45時間、年間360時間以内を進めたいのです。
これでやっと長期休業で時間外勤務が相殺できます。
しかし、文科省のメールマガジンにある通り、現在は小学校で時間外勤務が約700時間、中学校では1000時間に上ります。今のまま変形時間労働制を導入はできません。
もし変形時間労働を導入したいなら、「順番」が大事です。
第一に勤務時間上限45時間、年間360時間を厳守させる。そのために、勤務時間の改ざんは厳罰。それくらいしないと闇残業はなくなりません。
上限が守られるようになってから、変形時間労働制を導入するべきです。
教員の魅力をアピールしないと志願者が激減するといって、あせって夏休みの休みまとめどりを復活させ、変形時間労働制を導入すれば、ただ平日の勤務時間だけ伸びて、仕事が残った分は闇残業で処理することになります。かえって労働環境は悪化します。
変形時間労働制を導入するなら、まずは上限規制の厳守。これが必須です。
(ただ、給特法では時間外勤務を超勤4項目以外させないことになっているので、上限規制も本来は矛盾する。上限45時間分の賃金の割り増しをしないとサービス残業=ブラックという事実は解消できませんが。)