BIGFACEs Opinion

教育に関するツイート、教員の働き方改革のついての意見を書いていきます。

教員人気は落ちてない?数字だけの分析に意味はない。

https://www.mext.go.jp/kaigisiryo/content/20200122-mxt_kyoikujinzai01-000003940_14A.pdf

文科省の役人が「教員人気は落ちてない」と豪語していたので、その根拠は何だろうと調べてみたら、こんな資料がありました。

分析を読んでみましたが・・・納得いかない内容です。

・中長期的なトレンドでは、採用者数が平成12年度以降ほぼ一貫して増加しており、近 年の採用倍率低下は、大量退職等に伴う採用者数の増加の寄与するところが大きい。 

→これはその通り。だから倍率ではなく受験者数の実数で判断すべき。

・例えば、小学校において採用倍率が過去最高の12.5倍であった平成12年度において は、受験者数が46,156人、採用者数が3,683人であるのに対し、令和元年度においては、 受験者数は47,661人とむしろ増えている一方、採用者数は17,029人と5倍近くに増えた 結果として、採用倍率が2.8倍まで低下している。

→仰せのとおり。でも人手不足の現場を放置していて、採用数が多いというのはおかしい。そもそもの採用数が少ないという現状がある。

最も異論があるのは次の分析。

特に採用倍率が低下している小学校について詳細に分析してみると、受験者数のうち、 新規学卒者に限定すれば平成26年度以降も減少しておらず横ばい傾向であり、受験者の減少分のほとんどは既卒者である。(中略)学生からの教職の人気が下がっているためとは現時点では必ずしも言えない結果となっている。

平成26年以降の新規学卒者数字を見ると

H26 18,442人 H27 18,457人 H28 18,231人 H29 18,033人 H30 18,196人

確かに横ばい。しかし変化が起きます。

R1   17,371人 一気に825人減っています。約4%の減少を横ばい?

ここで確認したいのは「先生の勤務はブラックだ」と世の中が認識しだしたのはいつか?ということ。

それは2017年(平成29年)。「2016年度(平成28年度)の勤務実態調査」が発表され、過労死ラインを大幅に超えて働いている実態が明るみになったのはまさにこの年。

それ以降、ヤフーニュースでは教員のブラックぶりがアップされ続けています。

令和元年度に教員採用試験を受けた人たちは、何年に大学に入学していますか?

2016年です。まだ教員のブラックぶりが明らかになる前です。在学中に「教員はブラック」ということを実感し、教員採用試験を受けない人も増えたようです。(特に国立の教育学部から教員就職が下がり続けています。)

昨年の大学入試でも教育学部の人気が低下したニュースがありました。

つまり、今後は新規学卒者の受験者数も減るということが明らかなのです。

確かに数字だけ見れば「教員人気は落ちていない」かもしれない。

しかし、以上のような最近の状況を考慮せず「教員人気は落ちてない」?馬鹿げた分析です。数字だけ見ては完全に判断を誤ります。

こんな分析するよりも、近くの教育学部がある大学の先生や学生に「本当のこと」を聞いてみたら?

 

 

 

 

 一方、中学校については、全体として5.7倍の採用倍率を保っているものの、直近2~3 年間では新規学卒者の受験者数の減少が見られ始めている。中学校の受験者数は小 学校に比して民間の採用状況に左右されやすく、減少原因を一概に断定することは困 難であるが、新規学卒者の減少傾向に歯止めをかけることが必要となっている。(図6)