BIGFACEs Opinion

教育に関するツイート、教員の働き方改革のついての意見を書いていきます。

勤務時間の改ざんは「信用失墜行為」

昨年は1月に教員の働き方改革に関する中教審答申が出ました。

3月には働き方改革の徹底の通知、6月には夏休みの業務削減の指示が出ました。

そして12月には変形時間労働制と在校時間上限規制に関する給特法改正案が成立しました。

そして2020年の4月より、在校時間上限規制45時間が始まります。

1月14日に文科省働き方改革推進本部の会議が開かれ、上限規制に関する省令が1月中に示されるそうです。

そこでの注目は「勤務時間の改ざん」がどこまで防止できるか、その方策が記載されているかです。

はっきり言って、ICTの活用やノー残業デイの設定ごときでは、上限45時間を守ることはできません。特に部活動があると、いくらガイドラインを守っていても対外試合があれば、あっという間に45時間はオーバーします。

そこで、多くの先生方がタイムカードを切った後に、残務整理をしたり、管理職から過少申告するよう暗に強制させられています。

このような改ざんが横行している現状では、働き方改革などできようがない。

だからこそ、次の国会のやり取りは管理職研修や初任者研修で必ず通達しなくてはなりません。

第200回国会 文教科学委員会 令和元年11月26日

丸山洋司文部科学省初等中等教育局長

委員の御指摘のとおり、万が一そういった虚偽の記録を残すようなことがあれば、これは状況によっては信用失墜行為ということで懲戒処分の対象となり得るものだと思いますが、現時点ではその状況について把握はしておりません。

国会会議録検索システム

これは管理職が実際の在校時間を短く申告させることはもちろん、教員も自ら短く申告してはならないということです。

4月以降はありのままに勤務間を申告しましょう。また、家での持ち帰り仕事の時間も記録しましょう。

管理職に「もうちょっと勤務時間短くならない?」といわれたら、この国会での議論を見せてやりましょう。

勤務時間の改ざんは「信用失墜行為」です。

 

 

「民間研修」よりも「法律研修」が必要

昨年教育界を震撼させた教員いじめ事件。

その神戸市が再発防止策として、民間企業での研修を選択制で導入することになりました。

案の定、「それじゃないでしょ」「いじめ事件を起こしたのはベテランで、新採用は関係ない」と大炎上しています。

それにしても、「学校がおかしい→民間の手法を学ぶべき」とは短絡的に過ぎませんか。民間でもパワハラ、いじめは大問題になっています。

神戸が取り入れるべきは「パワハラ禁止法」などの法律を順守させることです。

そもそも学校という場所は、法律がないがしろにされます。

いじめは暴行、脅迫罪。パワハラは侮辱罪など、法律を徹底して適応すればよい。

しかし、教育に法律はなじまないという悪しき伝統があり、法をないがしろにする体質があります。

研修をするなら労働法規や人権に関する法律に関する研修のほうが断然効果的でしょう。法規に関する研修なんて、まったくありませんから。

そもそも教育委員会の幹部こそ、民間研修を受けてほしい。

違法残業させていて、うつ病や過労による退職に教員を追い込み、それを放置しているのはだれ?

民間のように、労基署に徹底的に調べられ、不払いの残業代や違法労働の罪で書類送検さえるところまで体験してほしい。そして民間の感覚を自治体の学校経営に生かしてほしいですね。

 

 

読解力や英語力を伸ばすのは入試改革ではない。義務教育だ。

2020年度予算折衝が終わり、小学校では英語の専科教員の増員などが決まりました。

一方で大学入試での国語数学の記述式問題の導入も見送られました。

まず大学入試改革の件。多くの識者がコメントを発出しています。

高校の授業を変えるのは入試を変えるのがよい。

読解力や英語力が問題だ。だから英語の4技能や記述式問題が必要だ。

なるほど、それは一理あります。(ただ今問題になっている「読解力の低下」ですが、PISAの問題はICTを使い、さらに一度答えたら後戻りできないものなど、日本の学生には対応しきれない問題だったということは、注意しないといけませんが。)

この話題で一番疑問に思うのは、「高校の授業を変えて読解力や英語力が付くのか?」

ということ。

私は「小学校教育こそ、読解力や英語力の基礎をつくる。本気で読解力や英語力を高めたいなら小学校教育こそ大事」だと考えています。だから小学校外国語、プログラミングが導入されるのでしょう。

はっきり言って、高校から力を伸ばそうとするのではすでに遅い。現場の実感からすると中学校でも小学校の遅れを取り戻すのはかなり厳しいと感じます。

入試改革で読解力や英語力を高めるのではなく、義務教育、特に小学校教育の充実こそ大切です。

今回の騒動で、そこにあまり言及がないですね。特に推進していた人は全く義務教育のことには触れていない人が多い。視野が狭すぎます。

では、小学校の現場に読解力を高め、さらに英語指導の優秀な人材が入ってくれるでしょうか?

ワールド・ファミリー バイリンガルサイエンス研究所 » Blog Archive » 深刻化する学校教員不足 〜小学校英語教育に与える影響〜

先生がいない…小中学校の「教師不足」が結構深刻みたい - NAVER まとめ

大阪市:小学校の教員不足について (…>お寄せいただいた「市民の声」>教育)

読解力や英語力を高めるどころではありません。授業自体が成り立っていない、多忙すぎて十分な授業準備ができない、指導技術の高い先生が少ない、勤務上限が厳しく補習ができない、

つまり、義務教育の環境が崩壊しかけているから、すべての力が伸ばせないのです。

その本質的な原因から目を背けていては、どんなに入試改革しても力は伸びません。

それにしても採点に60億円もかけるくらいなら、義務教育学校へもお金をかけてほしいものです。

特定の業者に金が流れないからやらないのですかねえ?

「平成12年を境に校長の権限が強化された事実はない」by埼玉教委

第6回裁判資料 | 埼玉教員超勤訴訟・田中まさおのサイト

国会ではだれも望まない「変形時間労働制」、実現不可能な「残業上限」が決まり、いよいよ教員の働き方は末期状態です。

各地で来年度の採用試験に向けて条件緩和策が取られていますが、徒労に終わるでしょう。

そんな中、埼玉では田中まさお先生の超勤訴訟の公判がありました。

トウマコさんが分かりやすくまとめてくれています。いつもありがとうございます。

私は実際の裁判提出資料を読んでみました。

私が読む限り、ある部分では埼玉教委は明らかにごまかしの主張をしています。

それは「平成12年を境に校長の権限が強化された事実はない」とした部分。

これは明らかに問題の本質をごまかしています。

問題の通知はこちら。

https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2010/04/06/1230703_002.pdf

この通知で職員会議は「校長の補助機関」とされました。

つまり、校務の決定権はすべて校長に帰するということです。

それまでは「最高議決機関」や「合議機関」として運営されたこともありました。しかし平成12年以降は「補助機関=校長の決定を補助するために意思疎通、意見交換をする場」と位置づけが明確になり、校務の決定権はすべて校長の権限になるとはっきりしました。

しかもその通知が徹底していないことが問題になり、平成26年に前川喜平初等中等教育局長が次のような通知を出しています。

https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/27/01/__icsFiles/afieldfile/2015/01/30/1354790_1_1.pdf

①職員会議は、校長の補助機関であり、校長が主宰するとされているにもかかわらず、教職員の互選等により選ばれた議長団等の組織を設置し、校長以外の職員を議長とし、当該議長が職員会議を主宰することは、校長の権限を実質的に制約することから不適切であり、行うべきでないこと。

② 職員会議において、挙手や投票等の方法により、校長が自らの権限と責任において 決定すべき事項について決定したり、校長の権限を実質的に制約したりすることは、法令等の趣旨に反し不適切であり、行うべきでないこと。

つまり職員会議は補助機関なので校長人事に職員は口出ししてはいけない。また挙手で物事を決めるのは、校長の権限を制約するからしてはいけないと言っています。この平成26年の通達の根拠に平成12年の通達が使われている、つまり文科省も校長の権限強化は平成12年に行っているという認識です。

よって、埼玉教委の「平成12年を境に校長の権限が強化された事実はない」は正確ではない。

さらに他の教育委員会では、平成12年がターニングポイントだと明確に述べてますよ。

職員会議とは? | 広島県教育委員会

埼玉教委は「平成12年の通達で校長の権限が強化された事実はない」と言っていますが、職員会議が補助機関になり、校務の決定権が職員会議ではなく校長にあることが明確になりました。

その結果、校長の権限が強くなったのは事実です。何回も言いますよ、「事実はある」のです。

埼玉教委はいくら裁判に勝ちたいからと言って嘘を言ってはいけない

まさか、学校教育法の条文が変わってないから、実態(校長の権限や職員会議)は変わってないとでもいうのでしょうか?さすがにそれは無理筋です。

ここまで無理筋な主張をしなくてはならなくなり、県教委の担当者は苦しいでしょう。

もうギブアップしたら?埼玉教委さん。

 

 

 

 

「管理職過労死促進法案」成立

https://www.youtube.com/watch?v=NFJUHWqELok

2019年12月は「公教育崩壊」のきっかけとなったと、後世言われるでしょう。

変形時間労働制を含む給特法「改正」法が成立しました。

しかし、野党議員が運用の矛盾や現場の不安を大臣に鋭く迫りました。

ぜひYouTubeで見てください。1.5倍速で見るのがおすすめです。

衆参の委員会で野党議員の頑張り、参考人の訴えにより、結果的に「導入しづらい」変形時間労働制になったと思います。

まず勤務時間外「在校時間」上限45時間を厳守しなければ、変形時間労働制は導入できないことが明確になりました。

(でも、本来給特法は特定の業務以外の残業は命じないはず。文科省は在校等時間という謎の概念をつくりました。まずここがおかしいのですが。)

現在の公立学校は時間縮減の意識が浸透してきました。しかし、ガイドライン通りの部活動をしても、今の業務量では必ず上限オーバーします。

つまり、部活動の外部化など大幅な削減なくしては、変形時間労働制は導入できません。野党議員の追求に、文科省もこう言わざるを得ませんでしたね。

さて、トップに挙げた動画で意外なことが明確になりました。

それは在校時間上限45時間は「管理職も対象」ということです。

ご存じのとおり、学校で最も多忙で長時間労働なのは副校長、教頭です。

その業務は膨大。校長の校務を助けることの他に、地域との連携窓口など業務は多岐にわたります。

それに変形時間労働制になると、各職員の事情に配慮した労務管理が付加されます。

参議院の委員会でも「管理職の負担は増える」と文科大臣は認めています。

ただでさえ多忙。その上労務管理も膨大になる。

結局管理職は「闇サービス残業」「持ち帰り業務」が今よりも増えます。

今回の法律成立で管理職の過重労働がさらに過酷になります。

ただでさえ管理職のなり手が激減している今。この法案は管理職不足のとどめとなるでしょう。この法案はまさに「管理職過労死促進法案」です。ありえません。

そこまで考えていますか?賛成した政治家のセンセイの皆さん。文科省のヤクニンの皆さん。なんでも浅知恵、小手先で何とかしようとするから、公教育が崩壊しているのでは?

さて、今後は自治体で変形時間労働制を導入するかの議論が始まります。

参議院の委員会で「変形時間労働制については各学校での意見を集約して、自分の学校で導入するか決めるのは管理職の権限」とされました。

変形時間労働制は導入しないほうが賢明です。

管理職自身の命を守るためにも。

 

青森市の「超勤5項目」

最近通勤時間のBGMは国会審議になっています。

いまさらながら、面白いですね。社会科教師として改めて国会論戦は刺激になります。

野党の勝部議員、水岡議員。さすが元教員だけあって、現場の実態がよくわかっている。それに引きかえ、文科省の局長はひどいですね。真っ向から答えていない。厚労省の委員は淡々とだけども、文科省の詭弁を労働法規の観点から「一般論ですが」とバッサリ切りまくる。厚労省の人を使いながらの論戦はお見事。少なくとも「野党は仕事をしていない」批判は当たりませんね。

さて、給特法「改正」案が審議され、与党が多数なので残念ながら法案は通るでしょう。来年4月からは「時間外上限規制45時間」がスタートします。勝部議員が言うように、「業務削減の手立てが全く示されないまま、上限規制をしても不可能」です。

文科省から丸投げされた各自治体。何とか規制をクリアしようと必死です。

そこでこのような奇策が・・・

生徒指導が1カ月前から分かるのか?とか余計な仕事増やすなとか、批判続出。

でも私は最もおかしいと思うのは別にあります。

それは「校長の管理下で部活動で残業することを明確に認めている。つまり、部活動での時間外勤務を校長が明示的に命じている。」ことです。

この書類は校長の承認を経ます。ということは、部活動は校長が認めた「業務」となります。(この辺は参議院の委員会でも校長の管理下は業務といえると厚労省の担当者も言っています)

給特法の超勤4項目(校長が残業を命じてよい業務)には部活動は入っていません。つまり、超勤4項目以外の部活動を校長が残業として認めることは出来ないにもかかわらず、この方式だと認めることになります。

明白な給特法違反です。

青森市は超勤4項目に「部活動」が入っているのでしょうか?いつ超勤5項目になったのですか?

このように、時間外は自主的だとか、教員の業務は切れ目なく労働時間が把握できないとか、ごちゃごちゃ言い訳をつけて残業代を払わないとしているから、こんなおかしなことが起きる。

黙って定時以降は残業代をつける。また上限45時間分の残業代を「教職調整額」にするなど、働いた分お金を出せばいいのです。

国会審議を聞いていると、「政府、文科省は教員には1円もお金を出したくない」という強い意志がよくわかります。

パソコンのようなものにはお金を出せて、人には出したくない。

実に「わかりやすい人たち」です。

 

参議院の附帯決議には「追加項目」が必要

変形時間労働制が衆議院を通過しました。今国会で成立してしまうのは確実な情勢。

全く現場の声を聴くことなく、強引に導入をしようとする政府。

ますます現場では人手不足が進みそうです。

ただ、衆議院を通過する際に「附帯決議」が付きました。

附帯決議。今まではあまり気にしていませんでしたが、結構重要なんですね。

附帯決議 - Wikipedia

法的拘束力はないけど、政府は無視できない。これは議院内閣制でいうところの連帯責任があるということでしょうか。

実際に附帯決議で修正された法案があります。

パワハラ指針案、労政審が了承 具体例や企業責務明示 :日本経済新聞

委員会ごとに出せるそうなので、参議院でもさらに踏み込んだ附帯決議を出してほしい。

私は次の内容を入れるべきだと考えています。

①持ち帰り業務も把握し、残業時間に算入すること。

文科大臣の言葉からは、「在校時間さえ減らせば改革成功と言える」という思惑が伝わります。実際には持ち帰り仕事が増えるだけです。

②一人当たりのもちゴマの上限を検討すること

授業準備にはかなり時間がかかります。しかもこれからは「主体的、対話的、深い学び」の授業が求められます。廊下で計画を考えるような昔の授業はしてはいけません。そのためには授業準備の時間の確保が必須。各自のもちゴマ上限をし、授業準備の時間を確保することが絶対に必要です。

③教職調整額を柔軟に変更できるようにすること

そもそも教職調整額4%は今から50年も前、月の残業が8時間の時代のもの。今の状況に全くあっていません。そこで、3年後の勤務時間実態調査を踏まえ、教職調整額を変更すべきです。特に残業時間上限45時間なら、45時間分の割増賃金を払うべき。今後は勤務時間調査を行うごとに教職調整額を変更し、「サービス残業」をなくすこと。

①~③までの内容を参議院委員会の附帯決議とすることで、今回の給特法改正案の「毒」を薄めなくてはなりません。

そもそも1日8時間労働の原則を崩す悪法であることは変わりありませんが・・・