「平成12年を境に校長の権限が強化された事実はない」by埼玉教委
国会ではだれも望まない「変形時間労働制」、実現不可能な「残業上限」が決まり、いよいよ教員の働き方は末期状態です。
各地で来年度の採用試験に向けて条件緩和策が取られていますが、徒労に終わるでしょう。
そんな中、埼玉では田中まさお先生の超勤訴訟の公判がありました。
トウマコさんが分かりやすくまとめてくれています。いつもありがとうございます。
取材してきました!!
— 東和誠(トウマコ) (@makoto_touwa) 2019年12月13日
【速報】第6回埼玉県教員超勤裁判の原告先生と県の主張の要旨をまとめた https://t.co/WRVRVw3q6s
私は実際の裁判提出資料を読んでみました。
私が読む限り、ある部分では埼玉教委は明らかにごまかしの主張をしています。
それは「平成12年を境に校長の権限が強化された事実はない」とした部分。
これは明らかに問題の本質をごまかしています。
問題の通知はこちら。
この通知で職員会議は「校長の補助機関」とされました。
つまり、校務の決定権はすべて校長に帰するということです。
それまでは「最高議決機関」や「合議機関」として運営されたこともありました。しかし平成12年以降は「補助機関=校長の決定を補助するために意思疎通、意見交換をする場」と位置づけが明確になり、校務の決定権はすべて校長の権限になるとはっきりしました。
しかもその通知が徹底していないことが問題になり、平成26年に前川喜平初等中等教育局長が次のような通知を出しています。
https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/27/01/__icsFiles/afieldfile/2015/01/30/1354790_1_1.pdf
①職員会議は、校長の補助機関であり、校長が主宰するとされているにもかかわらず、教職員の互選等により選ばれた議長団等の組織を設置し、校長以外の職員を議長とし、当該議長が職員会議を主宰することは、校長の権限を実質的に制約することから不適切であり、行うべきでないこと。
② 職員会議において、挙手や投票等の方法により、校長が自らの権限と責任において 決定すべき事項について決定したり、校長の権限を実質的に制約したりすることは、法令等の趣旨に反し不適切であり、行うべきでないこと。
つまり職員会議は補助機関なので校長人事に職員は口出ししてはいけない。また挙手で物事を決めるのは、校長の権限を制約するからしてはいけないと言っています。この平成26年の通達の根拠に平成12年の通達が使われている、つまり文科省も校長の権限強化は平成12年に行っているという認識です。
よって、埼玉教委の「平成12年を境に校長の権限が強化された事実はない」は正確ではない。
さらに他の教育委員会では、平成12年がターニングポイントだと明確に述べてますよ。
埼玉教委は「平成12年の通達で校長の権限が強化された事実はない」と言っていますが、職員会議が補助機関になり、校務の決定権が職員会議ではなく校長にあることが明確になりました。
その結果、校長の権限が強くなったのは事実です。何回も言いますよ、「事実はある」のです。
埼玉教委はいくら裁判に勝ちたいからと言って嘘を言ってはいけない。
まさか、学校教育法の条文が変わってないから、実態(校長の権限や職員会議)は変わってないとでもいうのでしょうか?さすがにそれは無理筋です。
ここまで無理筋な主張をしなくてはならなくなり、県教委の担当者は苦しいでしょう。
もうギブアップしたら?埼玉教委さん。