勤務時間内に終わらない仕事を命じることは、時間外勤務を命じているのと同じである by原告先生
教員の働き方には、奇妙な決まりがあります。
ある労働について、勤務時間内に行えば「業務=賃金が発生する労働」、勤務時間外に行えば「自主的、教員が勝手に行っている業務=賃金が発生しない労働」になる。
つまり、業務をやる時間帯によって「労働」の扱いが変わるということです。
トウマコさんのブログを引用します。
・同一の業務であっても、それを「勤務時間内」にやっていた場合には、校長からの明示・黙示の業務命令に基づく勤務になるにもかかわらず、「勤務時間外」にやっていた場合には、それは校長が命じた勤務ではない、すなわち教員が自主的に行っているものと評価されることになる。
例えば、原告のテストの採点業務について考える。
児童が下校した後の16時から国語科のテストの採点を開始し、40人分のテストの採点から記録まで通常100分かかるとする。
16時から16時15分までは勤務時間であり、16時15分から16時45分までは休憩時間となり、16時45分から17時の勤務時間終了までは再び勤務時間となる。そして、17時から17時40分までが時間外勤務となり、合計100分でテストの採点が終了する。
以上は、原告が普段から行っている仕事日程である。
ここで、被告の主張を前提とすれば、
16時から15分間は勤務、16時15分から30分間は自主的勤務、16時45分から15分間は勤務、17時から40分間は自主的勤務ということになる。
このように、同じテスト採点業務であるにもかかわらず、
「勤務時間内であれば校長が勤務を命じているので仕事として認められることになるにもかかわらず、17時以降になると、校長が命じていないという理由で、急に仕事として認められない」
ということになるのである。(原告準備書面2頁)
詳しくは以下のブログで。
第2回埼玉県教員未払い賃金請求裁判の原告先生と県の主張の要旨をまとめた
はっきり言って、この主張に同教育委員会が反論するのか、興味があります。
常識的に考えれば、このような同じ労働でも時間帯が違うことで、労働として認められないのはおかしいです。
今までの労働法の学説や、判例からも自主的にみられる作業でも、使用者が異議なく認め、さらに通常業務と関連しているなら、使用者の暗黙の指示に基づいた労働として認められます。(詳しくは以下の萬井先生の論考参照)
原告先生が主張するように、
勤務時間内に終わらない仕事を命じることは、時間外勤務を命じているのと同じである。
以上の主張に、県教委はどう反論するのでしょうか?
また、大阪でも教員の勤務に対する裁判が始まりました。
長時間労働で休職 現職の教諭が学校側を提訴 大阪 | NHKニュース もう部活とか時間外の勤務を、自主的なものと主張するのは無理でしょうね。昔は教員の働き方みんな知らなかったから、裁判所もテキトーだった。でも一般の方からすれば、時間外勤務は労働だと思いますよね。 https://t.co/fdEHxwJs7D
— もょもと (@bigface1979) 2019年2月25日
こちらの裁判も原告先生を応援していきます。