BIGFACEs Opinion

教育に関するツイート、教員の働き方改革のついての意見を書いていきます。

教師の再聖職化~自民党文部科学部会案を読む~

教育政策案は、自民党文科省で話し合われ、大筋が決まっていきます。

自民党が教員についてどのように考えているかを知ることは、今後の私たちの働き方を予想することになります。

さて、「奨学金免除」を打ち出し、大きな話題になった自民党文部科学部会。

その部会長である赤池議員のHPには自民党の考え方が「決議」として載っています。

自民党文部科学部会決議 「教師の日」制定と教師支援の充実 | 赤池まさあき 参議院議員(自民党 比例代表全国区) ニュース

長いですが引用します。

教師の資質と「教師の日」の制定など社会的評価の向上に関する決議

一 教師を目指す学生や現職教師の学びを支援するため、養成・採用・研修を一貫した教師養成を目指すこと。また、教師の職の魅力や遣り甲斐について、大学生、大学院生、高校生、社会人等に対する積極的な情報発信に努めるなど、全国で教育への熱意を持った優秀な人材が教師を志す気運を醸成すること。

一 大量退職時代の中で経験豊かな教師が一度に退職することで、教師全体の質が下がらないよう、教師採用・免許改革を実行し、層が薄いミドルリーダー人材を学校に確保するとともに、様々な経歴や専門的な知識・技能を有する社会人等の多彩な人材を教師に確保すること。

一 教育委員会等の研修、免許状更新講習、教職大学院での学修成果を、上位の免許状取得や管理職の登用要件に活用することや、初任者研修の充実など、より体系的・効率的な現職教師の育成制度へと転換すること。特に、中堅教諭等資質向上研修等の教職経験に応じた研修と免許更新講習との相互乗り入れを進め、その好事例を全国に普及・展開すること。また、教職員支援機構等において全国の新任学校管理職が地域を越えて研鑽を深めるための研修を充実するなど、管理職研修の一層の充実を図るとともに、教職員支援機構と教職大学院、教員養成学部等の連携を強化すること。

一 専門職である教師が、心身ともに健康を維持しながら子供たちと向き合うことのできる時間を増やすとともに、新学習指導要領を円滑に実施するため、学校での働き方改革を推進すること。そのため、教師間の業務量の偏りを解消しながら、業務量の削減に取り組むことが重要であり、教職員定数の改善をはじめとした学校の指導・事務体制の効果的な強化、サポートスタッフや部活動指導員の配置促進、ICTによる校務の情報化、学校運営協議会(コミュニティ・スクール)と地域学校協働活動の一体的な推進等を強力に進めること。

一 公立義務教育諸学校等の教師について、その専門職としての魅力を更に高めるため、「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」の実効性を高めるべくその根拠を法令上規定し、学校現場で確実に遵守されることを徹底するとともに、長期休業期間等において休日のまとめ取りを行う一年単位の変形労働時間制を条例により実施できるよう、早急に法改正を行うこと。

一 学校の教壇に優れた人材を教師として確保することが重要であり、教師に対する尊敬、信頼、名誉などの社会的評価を高めるための方策として、「人材確保法」の初心に立ち返った処遇の改善を図ること。また、教師として採用された者は大学における奨学金の返済を免除する仕組み等についても検討すること。

一 教師の社会的地位の向上及び子供や保護者、地域住民などが教師の担う職務への理解を深め、恩に報い、感謝する日として、近代教育制度を定めた学制に関する太政官布告が発せられた日である九月四日を「教師の日」として定め、教師を顕彰するとともに、法令用語を含め「教師」に統一することを検討すること。

右決議する。

令和元年九月四日
自由民主党政務調査会 文部科学部会

重要なところを赤で示しました。

自民党のイメージしている教員、働き方改革は次のようなものです。

〇教員志望者はやりがいアピールと奨学金免除で確保する。

〇教員免許更新など研修を管理職試験などに活用する。

〇資質向上は研修の充実で進める。

〇教員以外のスタッフの充実。社会人からも教員を募集する。

〇勤務時間上限のガイドラインを法制化する。

〇変形時間労働制は早急に導入する。

〇人材確保法をもう一度機能させる。

〇教員を「教師」と呼ぶことで、社会からの尊敬を集める。

皆さんはどう感じるでしょうか?

現場の人間から見ると、「結局お金をかけない、人を増やさない」方針は変えないのだなあと思います。

そして何よりも、今現場の最前線で戦っている現職教員は何も変わらないということ。

現場への方策が「教員を教師と呼び、教師の日を作る」ことのみ。

自民党文科省は、教師の聖職化を進めることで、お茶を濁そうとしています。

今必要なのは長時間労働に耐え、研修に自己犠牲を払って臨む教師の聖職化ではなく、業務の大幅な削減による人間らしい生活の確保です。

つまり教師の「人間宣言」です。