給特法と教師の献身性で成り立つ学校システム 「聖職のゆくえ」が描くリアル①
#聖職のゆくえ
— もょもと (@bigface1979) 2019年6月24日
見ました。内容が凄すぎてうまく表現できません。ただどんな苦労も卒業式や離任式で報われてしまうのが教員。特に一緒に勤務した先生は戦友。今年転勤したので涙してしまいました。教員は本当に素晴らしい仕事。だからこそ過労死や精神疾患の先生を出してはいけない。
「聖職のゆくえ」は、今の教員のリアルをそのまま放送しています。
現場の私が見ても、何も「盛っていない」本当の学校だと納得がいく番組です。
番組当初、2007年に修学旅行後に過労死してしまった工藤先生の校務分掌の様子が紹介されます。
・学級担任
・保健体育授業担当
・道徳、学活、総合授業担当
・生徒指導
・学年連絡会
・企画会議
・特別委員会
・体育祭担当
・不登校担当
・部活動委員会
・渉外部 まち懇 地域連携 PTA校外担当 生活係(生徒指導、教育相談)
・教育課程部 総務 校外学習
・生徒会担当
・体育祭実行委員会
・男子サッカー部顧問(部員87名)
以上の役割が工藤先生に割り当たっていました。現場の感覚としては、学級担任と生徒指導を一緒に担当するのは負担が大きい。さらにサッカー部の部員の多さ。複数顧問だったとは思いますが、保健体育の先生だったことを考えると、主顧問として頑張られていたことが予想されます。
このような業務は今年の私も担当していて、多くの先生にとって「普通」です。
果たしてこれらの業務が「勤務時間内」に終わるのでしょうか?
いつも思うのですが、「給特法」がなかったら、一人の人にこんなに業務を課すでしょうか?
いやいや課せないでしょう。確実に時間外勤務になり、膨大な残業代が発生します。また過労死ラインを超える業務を課しているのですから、労基署から指導を受けます。
給特法があるから、残業代、つまり「人的コスト」を気にせず、無制限に校務を課すことができる。
一方教員は「こどものため」に人的コストを考えずに働きすぎる。また、いくら給特法で勤務時間が終わったら帰っていいとはいえ、子供が学校にいるのにさっさと帰れません。それが教員でしょう。番組でも生徒のために献身的に働く先生の姿が見られました。だから番組に出ていた先生のように生徒にも信頼されるのです。
改めて、今の長時間労働の学校システムは「給特法」と「教員の献身性」が土台となって成立しているとわかりました。
文科省はお金を惜しみ、給特法を維持しました。教員の献身性をあてにして。
このシステムが続く限り、長時間労働は解決できず、現場は疲弊し、教員志望者は減り続ける。
やはり給特法は「毒まんじゅう」の悪法だと確信しました。