部活の顧問は「お願い」したものだから、業務じゃないよ by校長
教員の長時間労働問題の、最も大きな原因は、なんといっても部活動です。
部活動の顧問は、どのように決まってるか知っていますか?
これが民間ではありえない決め方ですので、ぜひ知ってほしいと思います。
多くの学校ではこのようなやり取りが行われます。
~3月下旬~
校長(以下長)「bigface先生、来年度は○○部の顧問をお願いしたいんだけど?」
私「えー、どうしましょう。○○部は私未経験の部なので、厳しいですよ。」
長「でも、先生がお願いを聞いてくれないと誰も顧問にならないんだよ。生徒のためだよ。お願い聞いてくれる?」
私「それって、命令ですか?」
長「いや、命令ではない。お願い、言ってみれば依頼だよ。」
私「依頼なら、拒否できますよね。」
長「生徒がいるのによくそんなこと言えるね。それでも教員?生徒のために頑張るのが教員じゃないの?
私「うーむ・・・・少し考えさせてください」
~4月初めの職員会議~
長「それでは今年度の部活の顧問は、次の先生にお願いします。」顧問一覧が渡る。
私「ええ?○○部じゃん。決まってしまってる」
長「部活はあくまでお願いされたボランティアで、職務外です、でもガイドラインもありますので、従ってください。また、部活の計画表は必ず校長に出して許可を得てから活動をしてください。」
このやり取りの中には、一切「命令」という言葉は出てきません。
すべて「依頼する、お願いします」です。
管理職は知っているのです。給特法では部活動は業務外なので、一切命令できないことを。
だから部活動は「校長のお願いを教員が自主的に了承して、自主的にやってる」扱いなのです。だから本来教員は部活を一切やる必要はありません。でも、部活には生徒がいます。生徒をほったらかしにしてさっさと帰る教員は、大いに批判されます。
民間企業に関する裁判では、労働者が自発的に行っているように見える仕事でも、業務として行っているようなら、使用者の暗黙の支持の下で行われた「労働」とみなされます。もちろん賃金が発生します。まして、その行動を行わなかった場合に非難されたり、不利益を被るといった事情がある場合は、労働であると認められています。
学校の部活に関して管理職から明確な指示、命令はありません。でも、部活動顧問就任を拒否したり、部活に生徒がいるのにおいて帰ったら「それでも教師か」と非難されます。民間の基準で言うなら、部活動はれっきとした「労働」であり、賃金が発生するはずです。しかし給特法があるから、賃金はありません。完全なるサービス残業です。
部活動制度は教師の献身性を逆手に取った、だまし討ちの制度といえるでしょう。